開院から1か月 ― 診療を通して見えてきたこと
六町ハートクリニックは、2026年8月3日に開院しました。
開院から1か月余りが経ちました。
今回、開院日から当院を受診していただいた患者さんの累計をグラフにしてみました。

一本の線にすると単なる数字に見えますが、その一つひとつが、実際に当院を選んで受診してくださった患者さんです。
開院してまず感じたのは、想像していた以上に近隣にお住まいの方が多いこと、そして思っていたより若い世代の患者さんも多いことでした。
そして、皆さんが抱えている健康上の問題も実にさまざまです。
「循環器のクリニック」に本当に患者さんは来るのか
開業を準備していた頃、「循環器を専門に掲げて開業しても、実際には循環器疾患の患者さんはそれほど多くないのではないか」という話を聞くこともありました。
もちろん、地域のクリニックですから風邪や腹痛など一般内科の診療も必要です。
一方で私は、大学病院で心臓・血管疾患の診療を続けてきた経験から、病院まで行くほどではないけれど、
「動悸がする」
「胸が痛い」
「足がむくむ」
「血圧が高い」
「健診で異常を指摘された」
といったことで困っている方は、地域にかなりいらっしゃるのではないかと考えていました。
実際に診療を始めてみると、動悸、胸痛、浮腫といった症状の方、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の方など、まさに開院前に想定していた患者さんがかなりの割合を占めています。
その意味では、開院前に私が思い描いていた「地域の中に循環器を専門的に診られるクリニックをつくる」という考えと、実際に地域で求められている医療が、少しずつ重なってきていることを感じています。
一方で、循環器だけではありません
もう一つ、この1か月で強く感じたことがあります。
それは、患者さんは必ずしも「自分の病気は○○科」と分かって受診されるわけではないということです。
「熱が続いている」
「何となく体調が悪い」
「以前から治療している病気の調子がよくない」
「健診結果をどうしたらよいかわからない」
そうした相談もあります。
実際、この短い期間にも、リウマチのコントロールが十分でない方、原因不明の発熱から膠原病や全身性炎症性疾患を疑った方、糖尿病のコントロールが不良な方などを診察し、より専門的な診療が必要と判断して他の医療機関へご紹介しました。
私は、地域のクリニックの役割は、すべての病気を自分のところで治すことではないと思っています。
まずお話を聞き、診察し、必要であれば血液検査、心電図、超音波検査、レントゲン、CTなどを使って、「何が起きているのか」をできるだけ見える形にする。
当院で対応できるものは責任をもって診療する。
そして、より専門的な診断や治療が必要であれば、適切な医療機関へつなぐ。
これも地域のクリニックの大切な役割だと思っています。
グラフの一つひとつの点の向こうに
開院してまだ1か月余りですが、この1か月の診療を振り返ってみると、「循環器を専門としながら、地域の皆さんのさまざまな健康上の問題の最初の相談場所になる」という、開院前に思い描いていたクリニックの姿が少しずつ形になってきたように感じています。
グラフの一つひとつの点の向こうには、それぞれ違った症状や不安を抱えて来院された患者さんがいます。これからもその一人ひとりときちんと向き合いながら、
「まず六町ハートクリニックに相談してみよう」
と思っていただけるクリニックを目指して、診療を積み重ねていきたいと思います。
そして、この「専門領域だけでなく患者さん全体を見る」という考え方は、私が長く大学病院で重症患者さんのベッドサイドに立ってきた経験とも深く関係しています。
このことについては、次回少し書いてみたいと思います。
