診察室から②|「痰が増えた」―病気だけでなく薬も考える
先日、「最近、痰が増えてきた」というご相談がありました。
通常の検査では大きな異常はありませんでしたが、胸部CTを撮影してみると、ごく軽度ながら誤嚥の影響を疑う肺の変化が認められました。
そこで、既往歴や服用している薬を改めて確認しました。
患者さんには神経筋疾患の治療歴がありました。
このような病気では嚥下機能が低下し、誤嚥を起こすことがあります。
しかし一方で、服用している薬の中には、その作用によって唾液や気道の分泌物が増える可能性のあるものもありました。
ここで大切だったのは、患者さん自身の訴えが、
「飲み込みにくい」ではなく、「以前より痰が増えた」
ということでした。
もちろん、原疾患の治療に必要な薬を安易に中止することはできません。
そこで、現在の症状と検査所見を処方されている先生にお伝えし、薬剤の調整が可能か検討をお願いしました。
特にご高齢になると、長年問題なく飲んでいた薬でも、身体の変化によって影響の出方が変わることがあります。
病気を見る。画像を見る。薬を見る。そして何より、
患者さんの訴えを聞く。
それぞれを別々に考えるのではなく、つなぎ合わせることで原因が見えてくることがあります。
「なぜ、この症状が出ているのだろう?」
これからも、その一歩先を考える診療を心がけたいと思います。
