私が長く心臓外科医として働く中で、身についた習慣があります。

それは、

「何かおかしい」と思ったら、もう一度考えること。

そして重症患者さんの診療では、

「何かおかしい時には血液ガス(動脈血)をとる」

ということを、若い頃から繰り返し教えられてきました。

心臓外科医として勤務していた頃、糖尿病のある患者さんで、嘔吐や食欲不振が続いている方がいました。

経過をみていて、手術自体の経過は問題ないのに、どうも何かがおかしい。

そこで血液ガスを調べました。

すると、明らかな代謝性アシドーシスを呈していました。

さらに調べた結果、**糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)**という、放置すれば生命にも関わる状態であることが分かりました。

もう少し発見が遅れていれば、危険な状態になっていた可能性があります。

この経験は今でも強く印象に残っています。

大切なのは、やみくもに検査を増やすことではありません。

患者さんの症状、経過、表情、既往歴、服薬歴、そして検査結果を合わせて考えたときに、

「何か合わない」
「何かおかしい」

と感じることがあります。

その違和感を放置しないことです。

これは、心臓外科でも地域のクリニックでも変わらないと思っています。

六町ハートクリニックでは、レントゲン、心電図、血液検査、CT、超音波、などを用いて、必要なものをできるだけ迅速に調べることができます。

しかし、検査機器そのものより大切なのは、

「なぜ?」と考えること。

検査値だけを見るのではなく、なぜその数字になったのか。
症状だけを見るのではなく、なぜその症状が起きているのか。
診断がついていても、経過と合わなければもう一度考える。

そして当院だけでは解決できない問題であれば、適切な専門医療へつなげる。

「何かおかしい」を見過ごさない。
原因を考え、解決につなげる。

これまで心臓外科医として培ってきた経験を、これからは地域のクリニックの診療に生かしていきたいと思っています。