開業をしてから、様々な講演会に参加しております。先日は以前から気になっていたMASLDに関する講演会に参加して来ました。

 

健康診断などで「脂肪肝があります」と言われたことのある方は、多いのではないでしょうか。

「お酒をそれほど飲まないのに脂肪肝と言われた」
「肝機能の数字はそれほど悪くないので、そのままにしている」

そんな方も少なくないと思います。

実は今、この脂肪肝に対する考え方が大きく変わってきています。

NAFLDからMASLDへ

これまで、お酒をあまり飲まない人にみられる脂肪肝は「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれてきました。

しかし現在は、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という新しい名称・概念が使われるようになっています。

単に名前が変わっただけではありません。

これまでの「アルコールが原因ではない脂肪肝」という考え方から、

「肥満、内臓脂肪、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの代謝異常を背景として起こる脂肪性肝疾患」

という考え方へ変わってきたことに大きな意味があります。

脂肪肝は肝臓だけの問題ではありません

ここは循環器内科として特に注目しているところです。

MASLDの背景にある高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、内臓脂肪は、いずれも心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患にも深く関係しています。

つまり脂肪肝は、

「肝臓に脂肪がついているだけ」

ではなく、

身体の代謝バランスが崩れ始めていることを肝臓が教えてくれているサイン

と考えることもできます。

ですから、健診で脂肪肝を指摘されたときに「肝機能がそれほど悪くないから大丈夫」と終わらせず、血圧、血糖、脂質、体重、内臓脂肪などを一度見直してみることには意味があります。

ところが、ここで一つ疑問が出てきました

今回の講演を聞いていて、私自身改めて興味深いと思ったことがあります。

脂肪肝の話をしているはずなのに、現在のMASLD診療では、単純な「脂肪の量」以上に、

「肝臓の線維化が進んでいないか」

ということが非常に重要視されています。

なぜ脂肪肝なのに「脂肪」ではなく「線維化」なのでしょうか。

そして、線維化が重要なのであれば、むしろ線維化してしまう前に脂肪肝を見つけ、早い段階から介入した方がよいのではないでしょうか。

この点は非常に興味深いところです。

次回は、

「脂肪肝なのに、なぜ“脂肪”より“線維化”が重要なのか?」

について考えてみたいと思います。